話す犬を、放す 話す犬を、放す

『話す犬を、放す』大阪公開記念
レビー小体型認知症ってなんだ?トークショーのご案内

日程:3月26日(日)13:35の回、上映終了後

【登壇者】
熊谷まどか監督
栗岡紀世美さん
(レビー小体型認知症家族の会:レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会ネットワーク「関西きらきら組」発起人

【場所】テアトル梅田

【料金】通常料金
一般1,800円/大学専門生1,500円/高校生以下1,000円
シニア1,100円/TCG会員1,300円
※前売鑑賞券使用可(劇場窓口にて座席指定券との引換が必要となります)

テアトル梅田 オンラインチケット予約
(2017年3月23日(木)0:00 a.m.~上映開始の一時間前まで)
※その他、混雑状況等、詳細につきましては、直接劇場までお問い合わせ下さい。
テアトル梅田 TEL:06-6359-1080
(混雑時・営業時間外はテープでのご案内となります)

イントロダクション

売れない女優レイコのもとに、昔の芝居仲間の紹介で映画出演の話が舞い込む。同時に母・ユキエがレビー小体型認知症を発症し、長時間一人にしておくことができなくなってしまう。女優のキャリアと、母との生活を両立させようとするレイコだが……。

第13回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016のオープニング作品として上映された本作は、若手監督に長編映画制作のチャンスを与える同映画祭のプロジェクトによって製作された。熊谷まどか監督は、『はっこう』(06)で PFFアワード2006グランプリ、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞を受賞し、2008年文化庁委託事業ndjcに選出され『嘘つき女の明けない夜明け』を監督した期待の新鋭。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭には、2013年の短編部門に『世の中はざらざらしている』がノミネート、本作で長編映画デビューを飾る。出演は、つみきみほ、田島令子、眞島秀和、木乃江祐希ほか。

本作は、パーキンソン病のような症状や幻視・幻覚を見るという症状が出るレビー小体型認知症という病をモチーフに、夢を追求するということ、介護という問題、“生きる”ということなどを、人間賛歌としてコミカルに、そしてリリカルに描く。

ストーリー

俳優スクールで教えながら、芝居を続ける売れない女優・下村レイコ(つみきみほ)。
彼女のもとに、人気俳優になった学生時代の劇団仲間・三田大輔(眞島秀和)から映画出演の話が舞い込む。
突然のチャンスに舞い上がるレイコに、母ユキエ(田島令子)から電話がかかってくる。
昔、飼っていた犬のチロが時々帰ってきて困惑しているのだと。ユキエは“レビー小体型認知症”を発症し“幻視”に悩んでいた。
一人にするわけにもいかず、映画出演と母との生活を両立させようとするレイコ。
しかしそんな折、母から意外な告白が・・・。


キャスト

つみきみほ 写真

つみきみほ

1971年生まれ、千葉県出身。1985年吉川晃司主演映画ヒロイン募集オーディションでグランプリを獲得し、翌86年映画『テイク・イット・イージー』(大森一樹監督)でデビュー。1990年『桜の園』(中原俊監督)で毎日映画コンクール女優助演賞受賞。他の主な出演作に映画『花のあすか組!』(崔洋一監督)、『蛇イチゴ』(西川美和監督)、テレビ「輝け隣太郎」(TBS)、連続テレビ小説「かりん」(NHK)など。近年は映画『ちはやふる 下の句』(小泉徳宏監督)、テレビ「深夜食堂3~きんぴらごぼう~」(山下敦弘監督)、Eテレ「おさるのジョージ」(声の出演)などに出演。

田島令子

「おはなしこんにちは」(NHK)でデビュー。1973年大河ドラマ「国盗り物語」(NHK)、1988年「武田信玄」(NHK)、1986年には映画『人間の約束』(吉田喜重監督)などに出演。海外ドラマ「地上最強の美女バイオニック・ジェミー」(77)の主人公や、アニメ「ベルサイユのばら」のオスカル、「クイーンエメラルダス」のエメラルダスなど、声優としても脚光を浴びる。以降もジャンルにかかわらず幅広く活躍。近年の代表作に2015年のドラマ「美女と男子」(NHK)、「アンダーウエア」(Netflix)、2016年の「ナオミとカナコ」(CX)、「沈まぬ太陽」(WOWOW)などがある。近作には「コピーフェイス」(NHK総合)、2017年初春公開予定の『探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る』などがある。

田島令子 写真
眞島 秀和 写真

眞島 秀和

1976年生まれ、山形県米沢市出身。ぴあフィルムフェスティバル2000グランプリ受賞作李相日監督作品『青〜chong〜』(99)でデビュー。その後、映画、テレビ、ラジオ、舞台CMと、あらゆるメディアで活躍。近作は、ドラマ「なぜ君は絶望と闘えたのか」(WOWOW)、「僕のヤバイ妻」(KTV)、「未解決事件〜ロッキード事件」(NHK)、映画『ボクの妻と結婚してください。』(16)などがある。公開待機作は、映画『愚行録』(石川慶監督作品)。

木乃江 祐希

1987年1月6日生まれ、神奈川県出身。劇団「ナイロン100℃」に所属し、同劇団の舞台「パン屋文六の思案〜 続・岸田國士一幕劇コレクション〜」「SEX LOVE & DEATH」などに出演。舞台だけでなく、映画『KILLERS』『モーターズ』、テレビドラマ「アイアングランマ」等にも出演。

木乃江 祐希 写真

スタッフ

熊谷 まどか 写真

熊谷 まどか

大阪府出身。同志社大学卒業。CM制作会社に3年間勤務後、様々な職業に就く。2004年、自主映画製作を開始。06年、『はっこう』が、ぴあフィルムフェスティバル2006グランプリ/ゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞など受賞。08年、文化庁「若手映画作家育成プロジェクト」に選抜され35mm作品『嘘つき女の明けない夜明け』を発表。13年、『世の中はざらざらしている』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭/ソウル国際女性映画祭などに入選。他、数々の短篇映画やドキュメンタリー等をコンスタントに製作し、国内外で上映されている。


プロダクションノート

物語のはじまり
2015年5月のある日

「最近ね、散歩の途中でね、お猿さんがたくさん出てきて踊ってはるのよ……」 離れて暮らす母が電話口でいきなり突拍子もない事を言い出した。 「ほかにもね、鼻をビヨーンと伸ばした象もいるなぁと思って、近づくとね、岩なのよ。首の長いキリンもいるなぁとよく見ると、木なのよ」 いったい何の話デスカ?

「お父さんに言うと、またアホなことばかり言うてって叱られるから黙っているんだけどね……」 母は淡々と話すが、私はそりゃヘンだよ、お父さんじゃなくてもツッコムよ、とすかさずツッコミながらも動揺している。母はどうしちゃったのか? 動揺しつつも、道端で踊る猿と象とキリンを想像して声を上げて笑ってしまう。


それから約2カ月後。大学病院でのいくつかの検査の後、母には「レビー小体型認知症」の診断が下った。「幻視」や「錯視(見間違い)」は、このタイプの認知症の特徴だという。 「認知症」という病名には正直、うろたえた。他人事と思っていた介護生活が始まるのか? 介護認定などの手続きを進めていたしっかり者の父からも、ショックを受けているのがヒシヒシと伝わってくる。そして、何より母自身の不安を思うと胸が痛む。東京で映画制作という夢を追いかけている場合ではないのではないか。そんな思いを抱えながら、夏を過ごした。

だが、早くも秋口にはそんなに悲観的になることもない、という気がしてきた。幸いにも、母はかなりの初期段階で診断がつき、確実な投薬を続けているため、症状の進行を遅らせられているようだ。相変わらず、ヘンテコな幻視は現れているというが、それらを受け流す心持ちも獲得したらしい。母は今まで通りの母であろうとしている。日々の食卓の心配をし、家中に掃除機をかけ、几帳面に洗濯物を畳み、時折、父に対する愚痴をこぼす。

確かに、以前に比べると出来ないことが母には増えている。工程の多い料理であったり、細かい縫い物だったり。頼まれて、繕い物を引き受けた私の手元を、母は真剣な目で覗き込む。かつて子どもの頃の私がそうだったように。そうだ、母は少しずつ幼女に返っているのだ。私と立場が入れ替わる時期がきているのだ。

決して仲が悪かったわけではないけど、近寄りすぎると何かとメンドクサイ存在であった母親に対して、今までにない新しい気持ちが芽生えてきているのを自覚した。


そして2015年、晩秋

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭のオープニング作品募集を知る。書いてみようと思った。今しか書けない物語を。

深夜、真っ白のワープロ画面に向かった私の脳裏に突如、だだっ広い草原を走る犬のイメージが浮かんだ。そして、塊となって「物語」が降りてきた。もう若くもない娘が、母親の老いに直面し、向かい合うという物語が。


年が明けて2016年1月

締め切りギリギリに提出したシナリオが選ばれたという知らせを受けた。『話す犬を、放す』が動き出した。

幻視のこと
シナリオの改稿を進めるなかで、議論の的となったのが、母ユキエが見る「幻視」の表現についてである。なんせ、幻視である。どういったモノが、どのように現れ、どのように消えるのか。レビー小体型認知症の症例についてリサーチを進めるが、幻視は見る人によって実に多様で、個性的であるらしい。 例えば「水道の蛇口から、小さな亀が出てきた」「玄関にエリザベス女王がお見えになった」などなど。見ている本人にとっては笑い事ではないだろうし、バカにする気など毛頭ないけれど、そこはかとないユーモアを感じてしまう。 同じ場所に居ながら、違うモノを見ていることを、なんとか映像で表現したいという私のこだわりに、撮影部を中心に試行錯誤が繰り返された。最終的に行き着いた「幻視」の表現が果たして正解なのかは誰にもわからない。なんせ幻視だから。 通常は見えないものが見えるというのは、どんな気分なんだろう? 娘レイコを演じるつみきみほさんがアドリブで発した「見てみたい」という言葉に、強く共感するばかりである。
犬のこと
この物語の中で、犬はいろんなモノを象徴している。思いのほか、難航したのが「タイトルロール」でもある“話す犬”チロ役のキャスティングだった。 雄でも雌でも、白でも茶色でも黒でもいい。ただ唯一「雑種犬」という要望だったのだけど、動物プロダクション所属のタレント犬には「雑種」がなかなかいないらしい。そりゃそうか、CMやドラマに登場する犬は、たてがみを付けられても怒らない優しいゴールデンレトリバーや、お父さんみたいな北海道犬、可愛いプードルとかだよね……。でも絶対、昔、庭先の犬小屋で飼われていたような、和犬だか洋犬だかも判然としない、「雑種」でなきゃダメなんです、と言い張り、探してもらう。 そして、ようやく出会ったのが、めんまであった。茨城県まで逢いに行く。名前の通り薄茶色でスリムな体型の見るからに「THE雑種」の女の子、12歳。耳が横向きにピコンと立つのが超キュートである。一目で惚れ込んだ。これまでの出演歴を尋ねると「ヨゴシをかけて、野良犬役を何度か」とのこと(涙)。めんまにとって、今回は初めて名前とおうちがある役らしい。 犬の12歳は人間で言えば64歳くらいと聞いたプロデューサーが「走れるのか?」と心配していたけれど、それは失礼な話であった。めんまは本番ではNGを一度もだすことなく颯爽とした走りを披露してくれた。 物語に大きな躍動をもたらす、彼女のひたむきな疾走は、ひときわ印象的なシーンとなった。
この映画は
闘病モノではありません。母と娘の繋がりを通じて、見て頂いた方それぞれが、大切な誰かとの繋がりを感じてもらえることを祈るばかりです。
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