介護は育ててくれた親への恩返しの時間だと思います。
良い機会をもらったと思えば、これからの人生も前向きになれますよね。
漫才師 島田洋七さん
認知症の母、娘レイコ、犬のチロの幻視。
そして、そのいとおしい営みを見つめる監督の温かいユーモアに満ちた視線。素晴らしい「まなざし」の映画です。
漫画家 岡野雄一(ペコロスおかの)さん
「母にもこんな時があったなぁ」と想い出に浸りながら見入りました。
私の母はもう殆ど 私をわかりませんが、尚 一層 母を愛おしく思える映画でした。
女優/タレント つちやかおりさん
自分もならないとは限らない、という思いでいっぱいになりました。世代や状況の違う三人の女性の人生がこんなに迫ってくる作品。愛することは、関心を持つこと。熊谷監督の深い人間愛を感じます。
漫画家・作家・俳優 内田春菊さん
ここに登場する女たちは、みんな男を当てにしない。だからと言って、何でもこなせるタフな女ってわけではなく、全部を抱え込んでいつもアップアップだ。もっと誰かに頼ればいいのに。でも、上手に頼れない女もいるんだよねぇ。ハートフルではあるけれど、とてもシビアな映画だと思う。
映画監督 岨手由貴子さん
犬の幻を見始めて、違う現実をひとり生き始める認知症の母。「ひとはみな違う現実を生きているのだな」という世界の真実が、ユーモラスに、ときに生き生きと綴られて楽しい。しかしあの犬、耳がぴんとしててかわいいんですよね。娘にも見えればいいのに。テーブルのポットと、座ったお尻の形がそっくりで笑ってしまった。二人の隔たり、越えられない断絶が描かれるからこそ、母の秘められた人生に触れ、心が通う瞬間が胸を打ちました。母と娘って、こういうものを受け渡していくのでしょうか。
映画監督 古厩智之さん
熊谷監督が描く母と娘はちょっと、呑気にも見えるけど、それだけじゃなく、しなやかに強く、世界に優しい。お母さんも、娘も、ちゃんと先へと進む。二人の少し呑気な会話を観ているうちに、なんでか、私まで、お母さんに、ふんわりと背中を撫でられ励まされた気持ちになった。
俳優 渡辺真起子さん
うちの母もボケてきたので、身につまされながら観ました。彼女の脳内ではどんな風景が広がっているのか、それを共有できない切なさともどかしさを噛みしめながら。でも、遥かな草原に犬を放つラストシーンに救われました。母も長い人生で抱え込んだ何かを、あんなふうに解き放っているのかな。周囲には奇行に見えるボケも、本人にとっては意味のある落とし前なのかもしれない。そう思ったら、なんだか優しい気持ちになれたのです。
作家 中村うさぎさん